僕は平山夢明さんの本が好きなんですが,この人の長編『メルキオールの惨劇』でいちばん好きなシーンを紹介したいと思います。

主人公がパトカーで警察に連行されます。パトカーで出発してしばらくすると,主人公を慕っている障害者の子供が主人公に気づきます。主人公が遠くに行ってしまうと思った彼は,走って追いかけて来るんですが,必死すぎて足がもつれて転ぶんですね。
そのときに主人公と一緒にパトカーに乗って一部始終を見ていた警官が吐く台詞。

p172
あ,こ,転んだ。白痴が転んだ。あはははは,転んだ。“転び白痴”だ

こゆう状況を難しい感情を抜きにして,純粋に楽しめるのがフィクションの素晴らしいとこですよね。

メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)

メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)