専門書の邦訳を読んだ人はみんな思うと思うけれども

The Seven Sins of Memory: How the Mind Forgets and Remembers

The Seven Sins of Memory: How the Mind Forgets and Remembers

心理学なんかは一般の人も興味があったりするので,一般向けの本が出たりする。この本はすごく面白いくて良いとおもいます。著者が第一線の研究者ということもあって,専門家であっても結構うならされるほどに新しい考え方が書かれています。

実際,この本の邦訳版を使って大学の1・2年生を対象とした講義をしたけれども,概ね好評でした。ただ,邦訳版を見ると,その引用の少なさに苦労させられます。講義で研究を紹介するような場合にはどうしても本で引用された論文を調べる必要があるわけです。(本で紹介されている結論の部分は方法なしでは理解しにくいことが多い)それで興味深い研究が紹介されているときには原典にあたりたいのですが,それに関する情報が本にはほとんどない。だから自分で原典を辿らないといけないんですよね。

私,こういうことは普通だと思っていたのですが,もともとの本(つまり英語版)を調べてみたら大概の研究は原典が引用できるようになってるじゃないですか!・・・なんていうか・・・すごく邦訳(というか日本の本を作っている人とか,出版のシステム)にがっかりしましたよ。

もともとの本(アメリカで出版された英語の本ですね。上に紹介してます)では原典にあたれるのに,邦訳バージョンでそれがごっそり削られている事実は,日本人はこうしたこと(原典にあたって調べること)の価値を軽視しているっつことですよね。というか少なくとも邦訳を出版した人なりシステムなりがそゆう方針なんですよね。・・・彼らは日本人の読者が物事に疑問を持ったり調べたりすることに対してあまり期待してないんですかねぇ。ちょっと悲しくなりましたよ。。

あったまに来たので邦訳の方は紹介しません。みんな英語の本だけを読んだらいいんですよ!