auggie wren's christmas story

http://youtu.be/Ijq9RkX4VVs

亡くなった妻の単なる写真など、作家の家に何十枚もある筈だ。それら何十枚もの写真の中の妻は、当然のこととして撮られていることを意識し、夫に見られるかもしれないことを承知したポーズをとっている。だがオーギーの写真の中の妻は通行人だ。世界の住人そのものなのだ。自らが写真に撮られているとは考えていないし、ましてやそれを夫が目に留めるなどとは夢想だにしていない。「だからこそ」小説家は失った妻のリアルな姿をそこに見出し、「だからこそ」喪失の感情が改めて横溢する。単に自分の記憶の中に在るのではない、「世界そのもの」の中でかつて呼吸し本当に生きていた妻。その妻が今はもういないのだ。

http://www.amazon.co.jp/review/R2TJPBN5G5YTF6/ref=cm_cr_rdp_perm