バットマン リターンズ

バットマン リターンズ [Blu-ray]

とても面白かった。ペンギンの悲しさみたいなものが良かったです。

ペンギンは狡猾だし汚いし陰険だし，すごい嫌な奴です。興味深いのはペンギンに関してはそれだけしか描かれません。倒されるためだけの悪役だったらそれでも分かりますが，ペンギンに関してはそんなことはない。ちゃんと丁寧に細かく描写がなされます。泣いて笑って喧嘩して・・・でもその描写が，徹底して，嫌なことです。なぜこんなにもペンギンは不愉快なのか。そこで初めてペンギンの誰からも受け容れられてこなかった人生を思い，彼に憐れみと悲しさを感じます。
誰かに対する好意は，行動を推測することによって生じます。でも嫌な行動をとる人は，たとえ不幸な来歴があったとしても，推測される余地もなく回避されるので結果的に誰からも好かれませんし当然受け容れられません。ペンギンのエピソードは，攻撃的な行動をとってしまう，嫌われ者の悲しさの物語だろうと思います。