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今週のお題「おすすめの本」
主人公が他人を殺す動機らしきものも,書かれているのだけれど,理屈臭くて嘘くさい。そういう意味では,古くさい作品です。
- 作者: ジムトンプスン,村田勝彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2001/02/06
- メディア: 単行本
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主人公は,幼なじみの婚約者を半殺しにして,失禁する彼女の様子を見てにやつく。捕まった後で,精神的に主人公を追い詰めるために見せられている婚約者のスライドショーを,もっと見せてくれるように頼む。主人公にとっては自分以外のすべての人間は自分に影響を与えうる影です。彼らに対して悲しみを覚えることはないのですね。
主人公のように,他者から完全に切り離された人間が,たとえ人を殺したところで悲しんだり動揺したりする訳がない。「そうでない人達」が,いくら殺人の動機や理由を彼の生まれや育ちに遡ったところで,納得できる訳がないんですよね。過去の「不幸な」境遇だったり,下らない同情なんかから自由になって,純粋にその部分を見せてくれるのが「内なる殺人者」だと思っています。