トッツィー

hemm2010-05-01

ダスティンホフマン演じる売れない俳優が仕事を得るために女装して女優としてテレビに出たら思わぬ大反響。さあどうしよう右往左往という映画です。化粧したり,服を選んだり,言い寄ってくる男性をあしらったりと,女性としての生活を送る男性の喜劇が描かれます。
男性を通して女性の生活を見せられるので,男性の観客は女性という自分とは別の性を,共感しながら見ることができます。そういう意味で男性にとっては女性の生活を擬似的に体験しながら見ることができる,ちょっと変わった映画です。
主人公は女装することで女性の生活を送ります。そこで女性ならではの大変なことも沢山経験するのですが,結局彼はお金を稼ぐために女装をしているだけですから,女性の気持ちを考えない酷い男性であり続けます。例えば「ジュリーとデートに行くのかい?でもおまえはサンディとつきあってるんじゃないのか?」友人にこんな風に言われるのですが,主人公が言うのはこんな台詞「もちろんそうだが,サンディとは他の女に会わないなんて約束はしていないぞ!」。
映画では最後まで主人公が女性の気持ちを考えるような男性に変わったのかどうかは分からず,女性の生活を体験することで男性が女性を理解することが可能なのかどうかは不明なままです。この映画のメインのテーマはもちろん女性は大変だということを伝えることなのでしょうが,異性の生活を体験することがそのまま異性を理解することになるかどうかは分からないということも同時に示しているように思います。

余談ですが,僕は女性を意識することがほとんどない生活を送っていて,自分や他人の性別に特に関心を払うことはないのですが,この映画では笑いを担保にとられてついつい最後まで見せられてしまいました。エージェント,ジュリーの父親,老いぼれ俳優,主人公の友達,どのおっさんもいい顔していて本当に面白い。